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AIの力を借りて横須賀市の取り組みをTED風?に発表してみた

こんにちは!横須賀市生成AI推進チームのM田主任三郎です。

先月になりますが、1月21日(月)と1月22日(火)に、横須賀市が主催する「横須賀生成AI合宿」が開催され、60人の応募枠を大幅に超える100人以上の応募がありました。

お越しくださった皆様はもちろん、残念ながら抽選に漏れてしまった皆様も、我々のイベントにこれだけ関心を寄せてくださり、本当にありがとうございました。

このイベントの中で、僭越ながら横須賀市の取り組みを改めて紹介する発表枠がありました。豪華講師陣による研修の合間に、今までと同じようなプレゼンをするのでは心もとない・・・そこでAIの力を借りて、かのTEDのようなプレゼンができないか(?)再構成のうえ発表してみました!


ChatGPTを使ってプレゼンを再構成する

今回は、後でプレゼンの資料自体をChatGPTに見てもらいたいので、データを読めるChatGPT Plus(有償版)を使います。
もともとのプロットの全体像を渡して、構成を考えてもらいましょう。

#命令文:
あなたはプレゼンテーションのプロフェッショナルです。私は自治体の職員で、生成AIの利活用を推進している立場です。
今度、生成AIを利活用したいと思っている他の自治体の職員や企業に勤める人を対象に、横須賀市の取り組みを紹介するプレゼンテーションを行います。
以下のプロットを元に、冒頭から注目を集めるような、ポジティブで楽しく、さらに聞き手の人たちが「自分達も試してみたい」と思えるような、TED的な発表に構成してください。
なお、発表時間は10分なので、適宜取捨選択を行い、時間内に収まるようにしてください。

#プロット:
〇横須賀市のLLM活用の取り組み経緯
・・・(略)

プレゼンテーションの構成案を以下に示します。10分の発表時間に収まるように要点を凝縮し、聴衆の関心を引くよう工夫しました。

1. イントロダクション(1分)
・自己紹介とプレゼンテーションの趣旨の説明。
・聴衆の興味を引くために、横須賀市がAIをどのように活用しているかの簡単な概要を提示。

2. 横須賀市のLLM活用経緯(2分)
(略)

ありがとうございます。この発表を、聴衆の心に残るよう、
さらに魅力的にするためには、どのような修正が必要でしょうか?

聴衆の心に残る魅力的なプレゼンテーションにするためには、以下のような修正を加えると良いでしょう。
(略)

いいですね、ではそれをふまえて、構成案を再構成してください。

以下に、改善点を取り入れたプレゼンテーションの再構成案を示します。

1. イントロダクション(1分)
・自己紹介とプレゼンテーションの目的を簡潔に説明。
ストーリーの導入: 横須賀市でのAI活用が始まったきっかけのエピソードを紹介し、聴衆の興味を引きつける。
(略)

これを繰り返し、構成をブラッシュアップしていきました。

最終的に、プレゼンのデザイン案を考えてもらったり、他の発表スライドを参考にプレゼン資料を作成したあと、それをChatGPTに渡して見てもらったり、発表のコツを聞いてみたりしました。

さてさて、どういう発表内容になったでしょうか・・・?

実際の発表内容

(ここからは、実際の発表資料を抜粋しながら、発表内容をご紹介します)


横須賀市の生成AIの取り組みを紹介します。人口減少と課題が多様化する時代、地方自治体が使えるリソースは減る一方ニーズは増えていくので、業務をより効率よく最適な形で行っていく必要があります。

そのためのツールとして生成AIの活用に取り組み、そこで出た課題やユースケースを共有していくことを目的としています。

横須賀市では、3月29日に市長からChatGPT活用の指示があり、4月3日にチームを立ち上げ、4月18日には全庁で活用することを対外的に発表しました。

このスピード感で出来たのは、2月ごろにチャットボットの試作品を作っていたり、3月中旬には自分たちでもChatGPTを試していたからです。
そこに指示が来たので、試用環境を高速に実装することができました。

指示があってから発表までの間は、利用にあたっての課題の洗い出しに専念することができました。いくつかの課題がありましたが、3年以上DXに取り組み続けていた組織だからこそ、自分たちですぐに判断ができました。

発表後、大量の取材対応が発生しました。おかげで深津氏とつながれたり、職員への周知が進んだり、横須賀市の広告になったりしました。一方で、2週間ぐらい取材対応でいっぱいいっぱいになりました。

職員にアンケートを取ったところ、「嘘をつく」可能性のあるChatGPTで検索・調査をしている人が4割近くいることがわかりました。ただ使えるようにするだけでなく、利用方法の知見を周知する必要があるとわかりました。

そこで、庁内報を創刊し、使い方や注意事項などを周知するようにしました。

その結果、「知りたい情報の検索、調査」で利用する人の数が30.4%に減少しました。

また併せて、職員に高い利用意向があることも確認しました。
仕事の効率が向上すると答えた人が8割以上もいました。

こうなれば、やめる理由はありません。6月5日に本格実装することを発表しました。

その後、7月にはGPT-4を利用を開始し、7月下旬~8月上旬に職員向けのChatGPT利用研修を行いました。10月から11月にかけては、利活用事例を表彰するプロンプトコンテストも実施しました。

他の団体さんから、よく聞かれることがあります。「結局どれくらい効果が出たのでしょうか?」。我々は、いまの時点では、効果を精密に測定することに意味を見出していません。

生成AIは急速に発展していて、今の環境で測定しても前提がすぐ変わってしまううえ、「今までのやり方に比べて業務が改善したか」は、全ての業務のやり方を改めて調査・測定する必要があり、膨大なコストがかかってしまうからです。

その一方で、良好な個別の活用事例が収集できているほか、アンケート結果からも高い利用意向が確認できています。また、これが案外重要ではないかと感じていますが、生成AIの利活用にともに取り組んでくれる熱意のある人が組織の中に多くいることが、今回の取り組みを通じてわかったことも収穫です。

これは横須賀市のChatGPTの利用状況です。1度以上使用した職員の数は、全体の5割を超え、週に1度以上使用する職員の数は550人、文字数も月当たり2530万トークンで、かなり使われている状況です。

またGPT-4の使用状況は、トークン数ベースですが、昨年12月時点で59.0%に達していました。単価が安くなったGPT-4-Turboが登場したこともあり、2024年1月9日から全職員がGPT-4(GPT-4-Turbo)を使えるようにしました。

ここからは課題ですが、利用状況から、多く使っている人とそうでない人が二極化している状況が見えました。

使う人や使える人を増やす取り組みをする一方で、素のChatGPTを使うことに難しさもあるので、より簡単に使える生成AIを使っていきたいです。

また、WebAPI経由での利用では、個人情報や機密情報を扱うことができないので、ローカル環境で動くLLMの可能性もあると思っています。

まとめです。
横須賀市は、目先の効果にとらわれずに、前向きに挑戦しています。また、ポジティブな人を見つけて、巻き込んで進んでいっています。さらに、社会全体の役に立つ知見をため、オープンにしていくことに一生懸命取り組んでいます。

なので、今日お越しになっている皆様にも「ともに、オープンに、楽しくAIを使っていきましょう」ということを伝えたいです。

ぜひ、ご自身の団体で導入・活用するだけでなく、知見をオープンに共有していってもらいたいですし、巻き込まれてくれる人がきっといるので、そういう人たちを見つけて、取り組みを進めてもらえればと思います。

とにかく触ろう、使おう、巻き込もう。

横須賀市M田でした。ありがとうございました。


やってみて感じたこと


TEDでは、ないですね。


発表者の能力不足です。プレゼンは、資料だけでなく、身振り手振りや声色、表情など、発表スキルも結構要求されますね…。

とはいえ、AIの力で再構成したプレゼン資料は、今までの生真面目なものより、だいぶ垢抜けた気がします!
中でも特に気に入っているポイントは次のところです。

  • 視覚的にパッと見で伝わるような内容になっている

  • 時間配分が適切で、発表内容の偏りが少ない

  • 参加者へのメッセージで締めると良いプレゼン感がある

Text to Textのみの生成AIの限界

今回はChatGPTの有償版を使ってみましたが、資料ファイルが読めたり、生成される文章が書式設定のされた見やすいものになっていたり、グラフが描けたり、挿絵を生成できたり、出始めのころと比べて出来ることの幅が広がっています

一方で、地方自治体がよく導入しているChatGPT互換サービス(…とでも言えばいいでしょうか?)は、ほとんどがText to Textのみなので、活用の幅が限定されてしまっていて、効果もその分薄くなってしまいそうです。

ただこういった便利なAIを業務で本格的に使う場合、送信するファイルに機密情報が含まれていないかとかも含め、気にするべきことも増えそうですね…。

取り留めもなく続いてしまいそうなので、今回はこの辺で。

(M田主任三郎)

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