AIアバター「えーあいそーだんいん」新聞には取り上げられなくても、VRユーザーに愛される存在になりたい。
はじめまして。生成AI推進チームに片足つっこんでいる横須賀市観光課のDropkixです。
10年くらい観光課でサブカルコラボやeスポーツなどの新規事業立ち上げを担当している、ミーハーなオタク。
今回は、AIアバター「えーあいそーだんいん」をメタバースプラットフォームVRChatで試験運用を行うこととなり、M田さんと一緒に担当となりましたのでそのお話しをしたいと思います。
多くの自治体で、既にAIアバターがデジサネで窓口案内をしたり、チャットボットで質問対応している中で、わざわざ3Dのアバターを開発して実施したワケと、方向性を絞った話をしたいなと思います。
きっかけ
AI市長とかできないの?みたいな話が庁内で上がり、調べていく中でAIアバターというものはすでにあって、すぐに実装できそう、とトントン拍子で企画の大枠は決まっていきました。ただし市長をアバターにして四六時中お話しできるようにするためには、コストと選挙管理委員会的な問題があり断念することとなりました。
方向性
「あ、そういえばウチ、メタバース事業してるから、そこに置いてみよう!」と当然なるわけです。1年間四六時中VRChatの事を考えて企画を考えていた側からすると、そんな簡単に置いただけでは誰にも使ってもらえない、メタバース廃墟ならぬ、AIアバター廃墟になってしまう…。と、めちゃくちゃ危機感を感じていました。
私は昨年度1年間かけて、「メタバースヨコスカプロジェクト」を立ち上げ、VRChatユーザーに対し3Dデータを無償配布しスカジャンを着てもらったり、マクロスをデザインしたデザイナーに記念艦「三笠」をロボにしてもらったりと、VRChatユーザーには大変よくしてもらい、デジ田交付金の報告書はKPIを大きく上回って報告することができました。
そんな1年間かけて築いてきたメタバースヨコスカに、言い表せない愛着が湧いていて、本当にたくさんのクリエイターやアーティスト、そしてユーザーの協力あっての取り組みだったので、変なことしたくないけど、うまいこと落とし込めないかなぁ、と3日くらいモヤモヤして進行できずにいた時期がありました。
話しかけるのがVRChatユーザーであるならば、先進性や自治体の優位性などはまったく武器にならない。なんとなく自治体にいると、「自治体初だからいいでしょ」的な甘えた思考があって、実際バリューにもなることもあるけど、VRChatユーザーには何も関係ない。
純粋にそれが面白いものであったり、コミュニケーションツールとして話のネタになったり、誰かを連れていきたい、と思わせることが出来なければ、一瞬で見切りをつけられてしまう。
愛される存在にすることを選べば、瞬発的なニュースバリューはない。だがニュース性や社会性を求めるとVRChatユーザーに響かない。
いや、もちろん両方あればベスト!だが選ぶのか…。
どっちかしかないのなら、ニュースバリューよりも愛される存在に設計にしよう!そしていろんなところに出張してほしいとお願いされるぐらいの、愛されAIに育てよう!そして横須賀をPRしてもらおう。コレしかない!っと、興奮する私をすこし離れたところからM田さんはニッコリ見守っていてくれました。ありがとう…。
これが例えば市役所のデジサネや、別のプラットフォームであったならばアウトプットはずいぶん変わっていたと思います。
アバター選び
やっぱりかわいい/愛されといえば「まめひなた」ということで作者さんにDMを送り、ご快諾いただいたという流れでした。様々な大企業とのコラボの実績もあり、わりと遊んだ企画も行っているので断られたらどうしよう、みたいな不安はありませんでしたが、実際AIを搭載することについては難しい判断だったと思うので、ご快諾いただけて本当によかったです。
「まめひなた」というキャラクターがすでに確立していて、誰もがかわいいと思うフォルム、表情、動きと私の目指す「愛されAI」の外見にふさわしいかった…。
しゃべってるAIがこんなにかわいいと思ったのは初めてです。VRで見るとめちゃくちゃかわいい。
プロンプト
ChatGPTとの接続や、実行環境のセットアップは2週間くらいで終わって、あとはプロンプトを書いていって細かい調整をするという感じで進行していきました。実際これを書いている今もプロンプトには修正を繰り返し、実証実験中も書き換えていくと思います。終わりが見えない!
プロンプトはChatGPTに手伝ってもらい素人の私が書いていきました。ポイントは以下の通り。
相談員として話をきく
親しみを持てる振る舞い、話し方
VRChatならではの写真文化
表情やモーションの多様
VRChatをしていると、ハンドサインでアバター表情が変わるようになっています。変えようと思っていなくても表情はよく変わるもので、テストで稼働させた時に、表情に動きがないアバターに違和感を覚え、出来る限り自動的に感情と表情が結びつくように、写真を撮るときにはポーズをとるようにM田さんと開発者のうえぞうさんにフォローしてもらいながら開発していきました。
プレスリリース&記者会見
定例記者会見では、解ってはいたけれど記者の反応は薄く、滞りなく終了。その日の17:00にPVをXで投稿し、たった1時間で1万回再生、今日は5.1万回再生!!!うれしい!!かわいいよね?私もかわいいと思う!!愛されAI爆誕!?
まとめ(課題)
VRChatに長時間放置していると固まる問題
出勤時間の調整
たまにChatGPTらしくリストを言っちゃう
受け答えがスムーズにいかない(相槌にも回答しちゃう)
回答が長すぎるときがある
そんな「えーあいそーだんいん」ちゃんを少しずつ育てていきたいと思います。今回の実験で知見が溜まったら、ゆくゆくはAIサービスをChatGPTから別のAIに変えたり、他のワールドに出張したりしてもいいよね、と思ってます。
初めてAI企画に携わり、もう、オープンなサービスの使い方は企画者に大きく左右されるので、同じサービスを活用しているものだとしても、これからどんどん面白いものが生まれるだろうなと実感しました!
最後に、「えーあいそーだんいん」で試しほしいこと
悩みを聞いてもらう
一緒に写真を撮ってもらう
ダンスを踊る
一緒に泣く/笑う
動きがあるとめちゃくちゃかわいいので是非見てください。
私からは以上です。長くなってしまってごめんなさい。27日の稼働まで調整がんばります!ありがとうございました!