見出し画像

生成AIは"コミュニケーション"を改善する、かも

こんにちは。横須賀市生成AI推進チームのM田です。生成AIの取り組みを進めていて、思うことがあります。

生成AI活用の本丸は「コミュニケーションの改善」じゃないか?と。

どういうことでしょうか?早速説明していきたいと思います。


自治体の出す文書は「全てを網羅」しがち

自治体の作る文書は、基本的に「コミュニケーション」を目的としています。例えば水道料金のお知らせは、自治体から水道を利用する人へ、水道の料金について伝える手段です。文書という情報伝達手段を使って、料金のことについてコミュニケーションを取っています。(一方的ですが)

横須賀市HPより(https://www.city.yokosuka.kanagawa.jp/6731/user/ryokin/mikata.html)

水道料金のお知らせ程度なら、それほど難しいことが書いてあるわけでもありませんし、比較的情報量も少なめです。

一方、数字がたくさん書いてあったり、びっくりするほど多くの注釈が入っていたりするお知らせを出していることも多くあります。そんな読む気が起きない郵便物を、誰しも一度は見たことがあるのではないでしょうか。

沢山ある情報の中から、その人に関係あることだけを伝えたいのですが、情報伝達の方法を増やすとかかる費用も手間も人手も増えます。
限られた予算(≒税金)の中で伝達手段を増やすことは至難ですし、そもそも出す側があらゆるパターンを想定して作り分けるのも困難です。

そのためどんな状況でも当てはまる「全てを網羅した(読みづらい)文章のお知らせ」を作ってしまいがちなのです。

生成AIを使ったコミュニケーションの改善とパーソナライズ

ここに生成AIを使えば、情報伝達=コミュニケーションを改善することが可能です。卑近な例で言えば、ChatGPTを使えば、出す側が説明文を読みやすく変えることも、読み手が説明文を読みやすく要約することもできます。

さらに、この方向性で生成AIの活用方法が発達していけば、情報を受け取る人の属性に応じてわかりやすい形に変換して伝えることが可能になると考えています。

いまの「通知」「お知らせ」が万人にとって分かりやすいものとは限らない

地方自治体のサービスの対象者は、大雑把に言えば全ての住民ですので、単純な例で言えば、目が悪い人や耳の聞こえない人もいますし、いろいろな人がいます。

またトラックドライバーで長距離運転が多い人など、ラジオ等の音声メディアに慣れている人や、情報を主にYouTube等の動画で得ている若い世代など、情報を文書とは違う形で受け取る方が嬉しい人も結構居るのではないでしょうか。

生成AIは、望んだ形のアウトプットを、ごく短時間で作ることが可能です。
自治体からの情報を、すぐに「受け取る人にとって一番やさしい形」に変換するという、今までの世界では望むべくもなかったことが、生成AIなら(恐らく技術的には)実現可能になってきます。

その人にとって分かりやすい形で、情報を提供する

これが実現すると、うまく伝えられなかったために発生していた(自治体と住民双方にとって不要な)問い合わせを減らすことが出来ます。

また情報を出す側の自治体としても、文章ではなく伝えたい事実のデータだけを出せば良いことになり、コストをそれほどかけずに、様々な人に分かりやすく伝えられるようになります。

「ChatGPTを使って今の業務を改善!」の前に

人口減少の状況下で、地方自治体は業務を改善し、今までより効率的に行政事務を行わなければなりません。

ChatGPTをはじめとする生成AIは、業務改善の一助になります。いまの業務に単純に導入して使い始めるだけでも、ある程度効果が見込める優れたツールだと感じています。

ただ、それでいいのでしょうか?
生成AIが持つポテンシャルを考えると、いまの業務のまま使うよりも、DXと同様に、生成AIの特性に合わせた形に業務を変革しつつ使う方が、より効果を生むと思います。

ICT化とDX(デジタル変革)の違い。磐梯町Webサイトより引用(https://www.town.bandai.fukushima.jp/site/dx/dx.html

以下の記事でご紹介したチャットボットも含め、私は、地方自治体の業務の中でも、住民との情報伝達…コミュニケーションの改善に、生成AI活用の可能性があると感じています。

セキュリティの担保や、電子データで自治体からの情報を確実に届ける手段など、課題は山積ですが、今後も可能性を探っていきたいと思っています。
(電子私書箱的なサービスとの連携が近道な気がしています)

また技術的な事柄も含め、これを単一の自治体の中だけで考えることは難しいので、他の行政機関の皆さんや、外部の事業者さんとも連携して進めていけたらいいなと思っています。

それでは、また。

(M田主任三郎)

以前の記事はこちらからどうぞ